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世田谷区がふるさと納税制度に反対するパンフレットを作成

ふるさと納税制度というと、受け取るお礼の品に目が行きますが、得をするという事は誰かが損をするということ。

じゃあ、だれが損しているの?というと都市部の自治体のようです。

日本経済新聞 地方(東京) 2019/11/21

「53億円、流出の危機! 世田谷の未来、守りませんか?」「返礼品目当てだけのふるさと納税で、本当にいいのでしょうか?」――。東京都世田谷区はふるさと納税に伴い、区が集めた住民税が19年度に53億円流出しそうだという冊子を作成した。5万部を用意し、区の公共施設や銀行などで配布している。一基礎自治体が国の制度に真っ向から異議を唱える広報物を出すのは異例だ。  区によると、18年度の流出額は41億円で、川崎市に次ぐ全国2位だった。元衆院議員で野党の論客としてならした保坂展人区長は「もう税制は崩壊していると言っていい」と強い口調で批判する。「2年後には流出額が100億円を超えるのではないか」  23区で構成する特別区長会(会長・山崎孝明江東区長)は19年度の23区全体での流出額は431億円になると試算する。返礼品競争が過熱していなかった15年度は流出額が24億円にとどまっており、4年間で18倍に激増する。

10月時点の税制に基づく区長会の試算では、23区の税収が年間約2300億円減る。23区は財政に余裕があり、行政サービスが即座に低下するわけではないが、自治体の事業費に置き換えると、保育所約1100カ所分、小学校の建て替え約130校分になるという。

という事です。実際に、ふるさと納税総務省DBをベースにランキング情報を作っている「ふるさと納税ランキング情報局」によると状況がよくわかります。

 

furusato-tax.info

サイトでは“負け組”と表現されていますが、要するに収入(寄付)よりも支出(住民の寄付額)が大きい自治体です。

それでみると以下のようになります。

神奈川県 横浜市 216,729 22,312,018 -22,095,289 交付団体
愛知県 名古屋市 410,298 13,678,877 -13,268,579 交付団体
大阪府 大阪市 511,645 12,789,807 -12,278,162 交付団体
東京都 世田谷区 83,353 11,338,097 -11,254,744 不交付団体
東京都 港区 3,497 9,523,707 -9,520,210 不交付団体
神奈川県 川崎市 204,780 9,598,159 -9,393,379 不交付団体
兵庫県 神戸市 423,933 7,464,646 -7,040,713 交付団体
埼玉県 さいたま市 10,522 6,650,125 -6,639,603 交付団体
福岡県 福岡市 43,706 6,547,143 -6,503,437 交付団体
京都府 京都市 183,795 6,421,142 -6,237,347 交付団体

横浜市名古屋市大阪市、東京都世田谷区といったように都市部が並びます。

中でも重要なのは、「不交付団体」という地域です。地方交付税の交付団体はふるさと納税で収支がマイナスの場合でも75%を国が補填してくれるルールがあります。

一方の不交付団体はそれがありません。

今回の記事でも取り上げた世田谷区は、不交付団体ではおそらく、最もマイナスが大きな自治体になるものと考えられます。

 

こうした都市部で働く人を育てた地方があるんでしょ。という考えはもちろんあります。

23区の税収が年間約2300億円減る。23区は財政に余裕があり、行政サービスが即座に低下するわけではないが、自治体の事業費に置き換えると、保育所約1100カ所分、小学校の建て替え約130校分になるという。

とあるものの、これまで保育所とか作ってこなかったじゃないか!という反論もありそう。都市には都市の言い分があり、地方には地方の言い分もあるわけです。